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樋口一葉の素顔を知る家族、友人たちによる談話を含む随筆集

一葉のポルトレ』(みすず書房)が刊行されました。

本書の解説を執筆しました。

 

 

初の時代小説を収録したアンソロジー『代表作時代小説』(光文社)が刊行されました。

 

 

初めて書いた時代小説が、本書に収録されました。「官能時代小説」をという注文に応えたもので、官能の要素が入っています。ハードルは高く悩みましたが、生地、深川を舞台に決め、川の「力」に身を委ねることにしました。江戸と現代を繋ぐ、「不変」のものとして、水の怪しい揺れが見えてきたのです。四苦八苦しながらも楽しかったのは、やはり「言葉」との格闘です。戦いの跡はぶざまですが、わたしには、書きながら江戸語(のようなもの)に温められたという感触が残っています。温められたとは不思議なことです。現代に生きる現代日本人(わたし)は、現代日本語のただなかで、疲労し目に見えぬ傷を負っているのでしょうか。女房を他の男に託し、それをよしとして滅んでいった伊助。暗い水音を思い出しながら、わたしはまた、細い路地を伝って、再び江戸へ渡ってみたい。もしかしたらそこは、今よりよほど進んでいて、今よりよほど自由、そして人間らしい人間が暮らしているかもしれないのですから。(小池昌代)

 

建築家・塚本由晴氏との対話をまとめた一冊『建築と言葉』(河出書房新社)が

刊行されました。

建築家の塚本由晴と、場所を移しながら行った四回の対話をまとめたものです。人間が心地よく生きていける空間とはどんな場所なのか。町と人間は互いにどのようにかかわり合っているのか。話すうちに、「詩」という概念が、一本の木のように枝葉を伸ばし始めました。人間を取り巻く空間と言葉について語り合った一冊の本です。(小池昌代)