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Friday
第1回宮古島文学賞の二席に短編小説「匙(かひ)の島」が入賞しました。
昨年の夏、宮古島を訪れました。10年ぶりのことでした。町を歩いていると、店のウィンドウに宮古島文学賞募集のポスターが貼ってありました。短編30枚〜50枚以内。応募資格は不問とあります。ふと心を動かされました。東京に帰ってからも、島をテーマにした短編を書いてみたいという小さな火のような気もちは消えることがありませんでした。そこで、書いて応募することにしました。夢中になって、なんとか書けました。「匙(かひ)の島」は宮古島をモデルとしてはいますが、虚構の島です。送るとき、どきどきしました。二席に選んでいただき、感謝しています。宮古島は、わたしにとって、忘れられない縁の深い島です。そもそも「島」というものに、以前から心惹かれるものがありましたし、昨年は、日本の歌の源流を求めて、琉球の和歌(琉歌)や「おもろそうし」を読んでいたのです。一篇を書くと、「島」を書いてみたいという気もちが、さらにふくらみました。今年はこの一篇に続く短編を、もう少し書き継いで行きたいと思っています。
(小池昌代)
短編小説「青いインク」が、高橋輝次 編著『誤植文学アンソロジー ― 校正者のいる風景』(論創社)に収録されました。『感光生活』(ちくま文庫)の一編です。
主人公の「わたし」は校正者。
青いインクの入ったアンティークの万年筆が人から人へと渡っていきます。